建築の眼 JAZZの耳 ; tetsuyakimura_weblog

木村哲矢建築計画事務所 木村哲矢 が  見たこと 聴いたこと 感じたこと

読書の森 (松原図書館) と Good Job! Center KASHIBA

暑さも (そして多少はコロナも) 和らいだ9月、好天に誘われ久しぶりに南大阪に建築の見学に訪れました。

読書の森 (松原図書館) は公園内の池に建つ建築ですが、水面に軽やかに浮かぶ親水性の日本的な建物ではなく、ずっしりとしたコンクリートの量塊が水面から湧き上がるといった建ち方です。内外とも着色した打ち放しコンクリートの、その分厚さ!水平垂直や直角を排しスキップフロアを用いた構成で、外殻のコンクリートの厚さとは対比的に内部は白く塗られた鉄骨の丸柱で存在感を与えず、空間のヴォリュームがとても豊かです。さほど大きな図書館ではなく全体が見渡せる一つの空間でありながら、単一ではなくさまざまに異なる居心地の良い場所が点在して設けられています。閉架書庫も浮かせてオープンに可視化されているのも図書館のありかたとして良い感じでした。
読書の森 (松原図書館) MARU。architecture 高野洋平+森田祥子 2019

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外観 池の中から建ちあがっています
壁面の大きさが目立ちますが、外殻内にもテラスや外部吹抜が設けられ、内部では閉じた陰鬱な印象はありません

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中二階の新聞雑誌コーナー 向かいに浮かんでいるのが閉架書庫

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2階から中二階と1階の閲覧室を見下ろす
コンクリート躯体は赤茶色の打ち放し 内部の壁は白色 天井はメッシュ 床はモルタル押さえ

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1階の閲覧室

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3階こどものフロア 右上は屋上広場

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3階こどものフロア

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書架のサイン 書架はコンクリート製のパネルかと思いましたらモルタル風塗装でした

 * * *

続いて訪れましたGood Job! Center KASHIBA
同様に直角を排した構成で、全体がワンルームでありつつ空間の抜けや見え隠れが実に巧みに多様につくられて、一つの空間の中にさまざまな場所が複雑につくられています。こちらは木造という事があって構造要素が松原図書館よりもより細かく配されますが、その分空間の分節がより複雑となり、自由に配置された柱と柱とを結ぶ面材の角度・サイズ・仕上・・・そして開口と面材とのバランスの違いなどが巧みに構成されて、個々に異なるまとまりが全体の中で孤立せず開けっ広げにならず、不思議なつながり方が連鎖しています。現実の空間を体験しても平面図が思い描けず、平面図断面図を見ても現実の空間が想起できない、そして一体架構がどうなっているのか、これは実空間でしげしげ眺めてみてもよくわからない、そんな魅力に満ちた建築でした。
多様であること 一つ一つの違いを認め合う事 つながっていながらひっそりと個にもなれること 四角四面でないこと これらは困難を抱える人々の (もちろん抱えない人々にとっても) たいせつな理念であろうと思いますが、そっくりとこの建築にも具体化されていると感じます。
管理する側からの規準である均一・均質性や、監視する側からの視認性とはまったく異なるつくられ方で目を開かされます。
Good Job! Center KASHIBA o+h 大西麻貴+百田有希 2016

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外観 面に分割した構成 角地で開放的な造りです

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窪みに設けられたベンチ

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軒下に設けられたベンチ 落ち着きがあります

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1階内部の様子 斜めに架け渡された面材が空間を複雑に分節しています

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2階からの全体見通し さまざまに光が取り入れられてとても明るい造りです
壁は構造用合板あらわしと白色塗装と銀色塗装 (?) の使い分け
天井は垂木あらわしと白塗装ボード張りの使い分け
桁の高さがいろいろで 角度を含め施工は大変だったことでしょう

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2階 階段室を通しての見通し

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サイン表示 作為なく良い感じです
  1. 2020/09/23(水) 12:51:16

伊根の舟屋

雨続きの7月の後、耐えがたい暑さの8月にホトホトまいり、そして9月となりました。
コロナの夏は帰省も控えじっと箕面に籠っていましたが、京丹後での仕事が夜遅くまでかかって帰阪を避けた翌日、この機会を逃さず伊根を巡ってまいりました。
陽がガンガン照り付ける暑い暑い日でした。


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道の駅舟屋の里伊根 からみる伊根湾

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建ち並ぶ舟屋群

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この1階舟屋の低さ!


伊根の舟屋・・・それはそれは不思議な建物です。海に面した船のガレージハウス。それが湾に沿ってずらりと建ち並ぶさまは圧巻です。
いったいどのようにして建っているのか、ずっと不思議でなりませんでした。
海に面した小さな間口の切妻二階建の質素な建物、海から直接舟を収納するため、建物内まで海水が引き込まれ、間口方向は全開、袖壁の類は全くありません。今回つぶさに見て、疑問も氷解しました。
舟屋は湾に沿って建ち並びますが、湾に沿った道を隔てて海側に舟屋、山側には生活のための主屋が建っています。舟屋は船の収蔵のみで生活空間は道を隔ててちゃんと別にあるのでした。


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1931年から約10年の歳月を費やして拡張が行われた京都府道伊根港線
この左手が湾に沿った舟屋群 右側が生活空間である主屋


間口の狭い舟屋ですが、その一軒一軒の僅かな隙間も海への側溝となっています。つまりは隣家と接する側の壁は内も外も海岸というわけ。
現在は鉄筋コンクリート造の基礎の上に土台を敷いて木造骨組みが建ち上がっていますが、かつては石積の基礎であったそうです。
海水がそのまま入り込む床も現在は鉄筋コンクリート造の斜めのスラブですが、かつては土のままの土間と舟庫の斜路は敷石であったとのこと。保護のために毎日小さな木造船を斜路に沿って引き揚げ、格納していました。


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舟屋と舟屋の隙間はそのまま海へ繋がる側溝

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舟屋跡を見ると基礎構造がよくわかります


柱は桁行方向は貫で緊結され、間口方向には丸太の梁と2階床を受ける角材の梁が二重に架け渡されて丸太を貫通する方杖と束材で固めてあり、これによって壁がない間口方向の強度を補っているようです。
1階は船を収めるためだけですから階高も低く、海側から見ると開口が抑えられて海面に迫っています。2階はもともとは網を干す場所として床が設けられていなかったそうです。古くの舟屋は平家であったそうですが・・・。
舟屋が面する伊根湾は干満差が非常に小さく、また、波が立ちにくい海の形状であることから、このように海面ぎりぎりに木造家屋を建てることが可能であったようです。数年に一度あるかないか、ごくごくまれに高潮と台風が重なった折には土台が水没することもあったそうですが、生活空間でもないので問題ないのでしょう。構造木材もすべて露出していますので潮が引けば乾燥するのでしょうし・・・。


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内部見学をさせて頂いた幸洋丸

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正面には自然の防波堤 青島

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骨組みの様子がよくわかります
土間は鉄筋コンクリート造 

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太鼓梁を貫通する方杖が効いていそうです 柱は五寸角でした

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海側から見た幸洋丸 人がいる舟屋です
並びには閉じてしまっている舟屋も多く見られます

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この舟屋はガイドツアーで見学ができるようでしたが、あいにくツアーには参加できず・・・

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通りから見た内部の様子

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海側からの外観

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平家の舟屋

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その内部の様子

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海側からの外観


この舟屋、江戸時代中期頃から存在しているそうで当時は茅葺であったそうです。古い写真を見ますとミニチュアの合掌造りの如く急勾配の切妻屋根に、隙間だらけの簡易で粗雑な壁面で、ちょっとおどろおどろしい雰囲気が漂っています。その後明治から昭和にかけて盛んな鰤漁とともに瓦葺の木造二階建となって現在の屋根勾配の景観となりました。
平成17年に重要伝統的建造物群保存地区に指定され、多くの観光客が訪れる観光地となりました。現在は漁のための舟も大型化して舟屋には収納しなくなり、そのため海側を閉じたものも多く見られます。舟屋を改修した民宿も多くあるようですが、舟屋本来の趣きとはやや離れた観光化した雰囲気で、私自身は泊まりたい気持ちにはなりませんでした。建築的に舟屋云々などと求めなければこんなにも海に近い宿というのは魅力的ではありますけれど・・・。


  * * *


伊根の後、せっかくなので天橋立に立ち寄りました。
観光気分で股のぞきも何度もしてみましたが、「天に架かる橋のように」???は見えませんでした、残念ながら私には・・・。
数年前、この股のぞき効果を科学的に説いて
イグ・ノーベル賞を受賞された日本の科学者の方がいらっしゃいましたが、身体の姿勢と視覚の関連性による錯視のありかた云々・・・
眼も身体感覚も悪く、素直な気持ちで世界を見られない私にはどうやらダメなようです。


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笠松公園からの天橋立

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天橋立

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天橋立ケーブルカーから見る天橋立

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天橋立ケーブルカー 正しくは 天橋立鋼索鉄道 のふもと側の府中駅
重なる木造トラス
  1. 2020/09/04(金) 18:30:40

暑中お見舞い申し上げます ~ 元伊勢三宮詣り

暑中お見舞い申し上げます

近畿地方では長雨にたたられた7月も最終日に梅雨明けとなり、8月と共に酷暑が始まりました。
今年の夏は、近くの神社での恒例のラジオ体操も行われず、自宅でラジオをつければNHKでも日本全国巡回の体操会ではなく、スタジオからの放送です。
このような2020年を迎えようとは年初には誰が予想したでしょう・・・

2020syotyu omote

2020syotyu ura


  * * *

昨年から仕事で京丹後に通っています。
4月半ばからは高速バスが運休となり、鉄道も特急が次々減便となって往来には随分と難儀しました。
けれどもどうせ長時間乗り継ぎ乗り継ぎで通うのであれば苦痛ではなく楽しく通いたい。ひとつ早めの電車に乗っては乗換駅をあちこち変えて、乗り換えのわずかな時間、駅周辺をぽつりぽつりと散策してみました。人気のない山の中など三密を避けたミニトリップです。

天橋立駅では駅周辺はすべて店が閉じ、全くの閑散とした無人の街・・・涙を誘う物悲しい有様でした。松並木の天橋立を歩けば時折ちらほらと地元の方のウオーキングやまれな行楽客に出くわします。静かな海です。

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5月12日天橋立

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5月12日 右が天橋立駅 悲しいまでのゴーストタウン

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5月12日 珍しい旋回橋


大江山口内宮駅では、その手前で京都丹後鉄道あおまつ号は停車して車窓からの眺めを堪能させてくれます。日室ヶ嶽の整った三角形の山の姿は神々しく、ふもとの白い鳥居が絵になります。

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5月19日あおまつ号の車窓から

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5月19日あおまつ号と新型車両


元伊勢内宮(皇大神社)は、伊勢に祀られるまえに天照大御神がいらっしゃったと伝えられる神社で、本殿はもちろん伊勢神宮と同じく神明造、樹皮がついたままの丸太の鳥居が素朴です。この黒木鳥居は全国でこの元伊勢内宮と元伊勢外宮、および京都嵯峨野の野宮神社の3カ所にしかないものだそうです。巨木の立ち並ぶ参道の山道を進むたびに神聖な気配が濃くなっていきます。

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5月19日元伊勢内宮参道

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5月19日元伊勢内宮

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5月19日元伊勢内宮本殿


内宮の少し先にあります天岩戸神社、巨岩の斜面に鎮座する祠は岩の下を流れる宮川とともに思わず息をのむ姿です。急な石段をいったん川べりまで降りてから、湧き水がつたう岩を鎖でのぼって参拝します。三徳山投入堂以来の鎖の参道です。

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5月26日天岩戸神社


伊勢神宮外宮(豊受大神宮)は大江駅から少々の道のり、内宮ほどは山の中にはありません。本殿の背後にそびえる二本の巨木が目を引きます。
参拝の後、最寄りの大江高校前駅までの道を急ぎますと、前方高架を進む一両編成の電車が!一時間に一本ですのでこれはマズイ!と走りますもなにしろ無人駅も高架の上、足はもつれ息は上がり・・・
それでも運転手さん、ふもとを慌てて走る人影に気を配ってくださっていたのか、私の駆け込むまで発車を待ってくださっていました。ありがとうございました。地方鉄道のありがたさです。

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6月16日元伊勢外宮

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6月16日元伊勢外宮本殿


鬼伝説の伝わる大江駅では駅前に鬼瓦公園、駅舎の二階の展示室に飾られた多くの創作鬼瓦の中には名のある建築家の方々の作も・・・。
駅の売店でいくつも買いました「大江のおばちゃんの手作りマスク」、重宝しています。

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6月2日大江鬼瓦公園

  * * *

ウイルス禍も終息の見通しがなく、この先もいったいどうなることかと思いますが、じっと耐えてこの状況とともに毎日をやり過ごしていくよりほかはありません。
どうぞ皆さまもくれぐれもお大事にお過ごしください。
  1. 2020/08/02(日) 08:14:32

『未練の幽霊と怪物』の上演の幽霊

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース 『未練の幽霊と怪物』 の上演の幽霊
たった今観終わったところです。

面白かった!!!

今年06月03日~24日にKAAT神奈川芸術劇場で公演が予定されていた 「未練の幽霊と怪物」、兵庫公演もあって私は7月4日(土)に観劇することを楽しみにしていましたが、残念ながら全公演中止となってしまいました。
『挫波(ザハ)』 と 『敦賀(もんじゅ)』 の二本立て、「夢幻能」 の構造を借りた新しい舞台が試みられる予定でした。
『挫波』 とは新国立競技場の国際コンペで選ばれ招致にも大きく寄与しながら、いつの間にか悪者に仕立て上げられ失意のうちに没した建築家ザハ・ハディドの物語。
『敦賀』 とは巨額の資金が投じられながら一度も正式稼動することなく廃炉の道を辿る高速増殖炉「もんじゅ」の物語。
いずれも怨念のこもった亡霊です。実現に至らなかった亡霊をあつかうお芝居自体がさらに亡霊になってしまった・・・
その二重の、入れ子構造の亡霊という面白さ。
そしてそれを最近よく目にするPCの分割画面という形式ではなく、あくまで舞台という板の上で演ずる、というスタイルが暗示されたことがとても新鮮でした。
もちろん本物の舞台ではなく机を舞台に見立て、役者の登場に合わせてスチレンペーパーで造られたミニパネルが置かれます。そのパネルが一人一人の演者の見立てです。演者奏者がその一つ一つのパネルに投影されます。役者はその10cmx20cmくらいのサイズのパネルからはみ出すことなく、独特の身体表現でパネル内で演じます。机には一脚の椅子も置かれ、観客に見立てられています。見立てとはまさにお芝居ならではの手法ですが、こんな風に表現ができるとは!
そして舞台=机の横にはガラス越しに街がつながり、車や人が通り過ぎていきます。舞台が進行するに従って街の闇が深まり、ガラスへの映り込みも増して舞台と舞台の幻が重なっていきます。

まさしくパフォーミングアーツの新しい在り方に立ち会った!という新鮮な歓びがあります。
物語りも、特に建築に携わるものとして 『挫波』 は胸に刺さりました。

今回の配信は物語の一部ですし、このような状況下でもこんなに面白い試みができる、となればますます全編をナマの舞台でも観たくなります。
KAATによれば 「改めて上演の機会を調整する事となりました。」 とのこと、時を得て劇場でもこの作品に触れることができるのを楽しみにしたいと思います。

この 「『未練の幽霊と怪物』の上演の幽霊」、今日と明日の二日間の限定配信、明日もあります。
明日も観ます!

『未練の幽霊と怪物』の上演の幽霊

『未練の幽霊と怪物』 の上演の幽霊
https://www.kaat.jp/d/mirenonline
明日の配信URLはKAAT Youtubeチャンネル
6月28日(日)16:00 https://youtu.be/C-L_3Stmy_I
  1. 2020/06/27(土) 18:43:44

「箕面 ねこと暮らす住まい」 のデスクコーナー

「箕面 ねこと暮らす住まい」 をRECRUIT刊行の 「○○で家を建てる」(「大阪で家を建てる」等)(2020/July) の巻頭特集頁に掲載頂きました。冊子は6月16日より全国の駅・商業スポットなどで配布されています。
掲載にあたり、建築主の方に実際の生活の上での使われ方や感想などを伺ってきました。冊子誌面では簡潔にまとめられていますが、設計の過程や建築主の方の感想などをもう少し丁寧に記してみたいと思います。

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東京版大阪版

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【設計過程】
この住まいは単純な矩形のとてもコンパクトな住まいであり、LDKも少しでも拡がりを得られるようにワンルーム形式で、2階に設けることにより天井を屋根の形状に合わせて高く取ってゆとりを設けています。そのような設計の過程で建築主の方より、リビングの中に区画されたセカンドリビングのようなコーナーを設けたいとの要望がでました。設計上は面積の都合もあり当初は 「どうかな???」 とも思いましたが、しかし、コンパクトな住まいであるからこそ、単純なワンルームよりも小さくとも性格の異なるスペースがある方が、すべてが一望できてしまうよりも陰となるスペースがある方が、異なる空間体験の場が生じて住まいにもひろがりが感じられると思い直して、LDKの一角にデスクコーナーを設けるに至りました。

両面が棚となったパーティション家具でリビングと区画されたデスクコーナーは、リビングからは見えませんが完全に死角となる隠れた部分ではなくキッチンからは様子が垣間見れるようにしています。それとともに天井はリビングともつながってひとつの覆われた空間の一部分と感じられるようにしています。安堵感・こもり感のある小さなスペースですが通り抜けですので二方向からアクセスできることで行き止まりの閉所感を無くし、使い勝手上も狭い空間でも人の出入りがしやすくなっています。
この住まいでは猫も設計上の鍵となっていますが、デスクコーナーとリビングとを隔てる棚は上部がキャットウオークの一部ともなり、また、最下段の棚も一部背板を設けず猫が通り抜けできるようにしています。棚板は互い違いに穴をあければ上下に猫が上り下りできるキャットタワーとなるようにも考えてありますが、当面は穴を開けずに収納重視としています。

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【実際に生活されているご様子・感想】
生活を始めて約一年、建築主の方のお話しではリビングダイニングの一角にデスクコーナーがあることにより、子どもたちが学習・読書に入るハードルが下がり、机にむかうスピードがとても速いとのことです。それとともにデスクコーナーは学習や読書の場として使用し、ゲームなどは食卓や子供室内で行うこととしてデスクコーナーでは行わないようにルール付けしていらっしゃるとのことで、机に素早く向かうだけではなく子どもたちの頭の切り替えもはっきりとスムーズに出来ているというお話しはとても興味深いものでした。
食卓で勉強も読書も遊びも行うと、テーブルの上が常に物であふれ食事の度に片付けが大変となるところですが、デスクコーナーがあることで食卓にはものが散らかることなく、一方デスクコーナーは学習や読書の途中でもそのままでよく、しかもリビングダイニングからは出しっぱなしの様子も見えません。これは皆さんにとってストレスの軽減となります。

この住まいは2階リビングとしてデスクコーナーも2階にあり、一方子供室は1階にありますので、ランドセルは1階の子供室に置くようにされています。上述の通りおもちゃ・ゲームなどはデスクコーナーには持ち込んでいらっしゃいません。子供だけでなく両親もPC関係や書籍・文具類などはこのコーナーに置くこととしていらっしゃるそうです。両面が棚となったパーティションのデスクコーナー側には学習用具・文具・本など、食卓側には一般書の他、TV・日用品・玩具・子供さんの工作など作品展示・ちょっとした飾りの品などがおさめられています。
デスクコーナーや棚の性格をはっきりさせることで、物の片付けも容易となり、あちこち探さずにすんでとても勝手が良いと好評でした。

  * * *

このようにデスクコーナーと食卓との使い分けを明確にされていることにより、お子様たちの行動の動機付けがとてもはっきりしてうまく機能しているご様子です。設計者の机上の思惑以上に上手にお住まいのご様子で、お話しを伺って 「なるほど・・・」 と目から鱗が落ちることしきりでした。
小さなお住まいのとても小さな一角ですが、とても大きな意味あるスペースとなったと思います。

「箕面 ねこと暮らす住まい」 はこちらからご覧ください。


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ダイニング側からはデスクコーナーは完全に死角となっています

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大きな食卓では勉強は行わない決まりです

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デスクコーナーは適度なこもり感の落ち着くスペースです デスクとつながって手洗いコーナーがあります

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リビングからみたデスクコーナーの様子 両方からアクセスできる回遊式であることがよくわかります

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キッチンからデスクコーナーとリビングダイニングを見た様子 親の目が行き届きます
  1. 2020/06/22(月) 13:04:04
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