建築の眼 JAZZの耳 ; tetsuyakimura_weblog

木村哲矢建築計画事務所 木村哲矢 が  見たこと 聴いたこと 感じたこと

キャットウォーク

昨今の猫ブーム、建築界にも押し寄せて猫のための家づくり指南本が大人気。
もちろん私も早々に買い求め、建築の工夫を学ぶよりもそこに写ったネコさんの写真をでれーと眺めてにやける始末・・・
そんな折に願い?が通じましたのか、猫のいる住まいのお話しが!

そのお住まいが今夏完成しました。
2階リビングとして、屋根の勾配を室内天井に表した住まいです。その屋根を支える木材も現しとしていますが、水平に架け渡された構造木材(梁)、強度上は一本で足りるのですがそこをわざわざ二本抱き合わせにしています。
なぜだかお分かりになりますか?

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屋根の棟木を支える束(短い柱のような木材)が中央に立っています。
高いところが好きなネコさんには梁の上を歩いてほしい!ですが折角歩いてくれても束で行き止まりとなってしまってはネコさんに申し訳ない・・・
ということで、ちゃんと歩けるように束を挟んで梁を二本とした次第、このお宅には二匹のネコさんがいますが、お互いに「道を譲れ!」との諍いもなく行き違いもできます。

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ネコさんのことを考えての設計ですが、ニンゲンさまにはそうは申さず、「梁を二本にしてその間に照明を仕込みます」ともっともらしい設計理由、二本の梁の隙間に間接照明のアッパーライトと直接光源のライティングダクトを仕込んでいます。
でもバレバレでしたかね?

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他にもネコさんのことを考えてあの手この手の工夫を散りばめたこの住まい、その成果を想像しながらの設計とはこんなにも楽しいものでしたか!建築主さんのお宅に打合せに伺うのも、足元にすり寄ってきてくれたり図面の上を歩いてくれたり・・・が楽しみで、毎日でも打合せに伺いたい気分でした。

さて
果たしてネコさん達は私の仕掛けにちゃんと気付いて悦んでくれているでしょうか?(ねこだからなぁ・・・ いや所詮はニンゲンの浅知恵だからなぁ・・・)
  1. 2018/11/14(水) 09:55:25

2018年夏の建築巡り

あんなに暑かった夏もいつしか過ぎ去り、すっかり秋です
異常な暑さに加え風水害に台風・地震と大変な夏でしたが、幸いにも私自身は災いに遭う事もなく、合間を縫って建築巡り
遅くなってしまいましたが、夏の建築日記・・・

夏の始めに訪れました伊豆の江之浦測候所(2017 設計:杉本博司+新素材研究所/榊田倫之建築設計事務所)
太平洋に面した絶景の地、海しか見えない敷地に配された建築の数々、それらは夏至や冬至、春分秋分の日の出の方位に向けられ、掘り込まれたり突き出したり、様々な関係性を持って構成されています。出来上がった建築群を見てあれこれ言うのはたやすいけれど、何もない海べりの樹木が生い茂る自然の地形でこのような配置を構想するのは大変な想像力と、現地で身を粉にしての労苦の賜物ですね。その結果として、風景を切り取り、光と影を読み解く、まさしく写真家ならではの建築群が出来上がっています。そして、それら建築群の大胆な配置に対して緻密で繊細な素材とディテール!圧倒的な石の群れ。そんな中、茶室の屋根の錆びた小波鉄板に、躙り口の沓脱のガラスの量塊には驚いてしまいました。展覧会場では喰い入るように見つめる杉本さんの「海景」シリーズ、100mギャラリー内にゆったりと間隔を持って展示されていましたが、ここではそれらも単なる一つの背景のように、周りのすべて 空・海・樹木と建築群、点在する灯籠石碑などに目を奪われっぱなしでした。

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夏の終わりに訪れました琵琶湖畔の佐川美術館 樂吉左衞門館(2007 設計:樂吉左衞門+竹中工務店)
なんとも大げさな主屋2棟の大屋根に対して樂吉左衞門館の屋根のシルエットの美しいこと!水面に生い茂る蘆の群れの上に 柔らかくむくりのついた屋根のみが覗いています。とても深い軒で先端は薄く研ぎ澄まされて鋭角的ですけれども優しい。増築という制約の中、建物の配置も巡りゆく動線の構成も計算されつくした感があります。樂吉左衞門館へのアプローチは水面の下へもぐり行き、ホールと展示室、茶室も待合と小間は地下にあって、広間のみが水面より上にあります。水面下の空間のその暗さがなんとも印象的。水面のゆらめきを通した天窓からの光が時間とともに壁面に様々な表情を映し出し、あるいは茶室小間の和紙太鼓張りの壁には池の蘆がうっすらと緑色を映しこみます。杉板型枠のコンクリート打ち放しは、板幅がエリアによって微妙に変えられて空間の緊張感をコントロールしています。その小幅板の板厚も微妙に変えられて壁面にかすかな凹凸をつくって陰影を醸し出し、何よりもそのコンクリートの色!黒いコンクリートなのです!いったいどんな手品があるのやら、左官といいコンクリートといい、黒い色を混ぜるのって至難の業だと思うのですが、それが何とも美しい黒色に仕上がっていて、小幅の打ち放しのところなどはあたかもコンクリートの厚板の積層の如き風情でした。抑制された展示や動線の空間に対して茶室の二間はかなり大胆な材料の選択で、ともすればゲテモノ趣味になりかねないものをよくぞまあ・・・。
朝の開館と同時に入ってから夕方の閉館まで丸々一日ともかく堪能、もちろん建築だけではなく展示もまた盛りだくさんで、何しろ平山郁夫・佐藤忠良に加えて田中一村、もちろん樂さんのお茶碗も・・・
全部見るだけでも大変、疲れると樂吉左衞門館の地下のホールに潜って闇の中で天窓からのゆらぎに身も心も休めます。

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これら二つの建築はいずれも建築家ではなく美術家の企画/構想/設計によっています。芸術家のつくった建築って、ともすればその発想に建築がついて行ききれず、頭でっかちであったり奇想天外ばかりが目に付いたり、建築的には???と感じるようなことも多そうに思いますが、これらはいずれも素晴らしい協働者施工者を得て、密度の高い優れて大人の建築であり、同時に新しい建築であるなあ、とひれ伏す次第です。
そして何より本物の力!時間をたっぷりと蓄積した、人の想いをしっかりと染み込ませた、嘘偽りのないモノだけが持つ圧倒的な力!
いいものを見てとてもシアワセな両日でした。

CASA BRUTUS 212茶室をつくった
参考書
「CASA BRUTUS No. 212
杉本博司が案内する、おさらい日本の名建築」

江の浦測候所も紹介されています
参考書
「茶室をつくった。―佐川美術館 樂吉左衛門館 5年間の日々を綴った建築日記」
樂 吉左衛門

今読み進めています


今を逃すともう行く機会がない、となぜか突然思い立ちましたのがお盆の前々日という有り様で、急に旅立ちました糸魚川。
積年の想いを晴らすべく訪れた谷村美術館(1983 設計:村野藤吾)
ああ、やっと来ました・・・
木造の回廊に囲まれたこの別世界、あぁぁこれこれっ という感じでのご対面。9時の開門と同時に入りまして、まだ朝のひっそりと静かなたたずまい、こじんまりとしたコンクリートの不思議な造形に見入ります。ラフに仕上げられた外壁の汚れまでもが美しい。
法隆寺の回廊を意識したともいわれる回廊を時間をかけて巡り、いざ内部の迷宮へ。
内部には順路を示す矢印案内がありましたが、そんなものは不要。光にみちびかれるままに彷徨っていたい、柔らかな胎内。不思議な平面形ではありますが、内部を歩めばとても自然な感覚です。各展示空間には直接の光線というものが一切なく、幾何学的な直線とか直角とかも一切ありません。外部内部ともに有機的な形状と素材。その中でただ一つ、エントランスから展示室に至るごく短かな斜めのスロープ、ここにのみ直線があり壁との取り合いに鋭角がありました。なぜなのでしょう・・・。ホールに設けられた窓の木製格子も方位によってか屋外取り付けと屋内取り付けの使い分けがあり、これも謎でした。
洞穴というのは本来暗いものなのでしょうが、こちらはただひたすらやわらかなやさしげな光に満ちた仏さまと私だけの洞穴。酷暑の夏であちらこちらに何台も置かれた扇風機がうるさくて、多少暑くとも静寂が欲しいと願わずにはいられませんでした。
至福の空間を後にしますと再び回廊へ。青い空と前庭に敷き詰められた砂利が眼に心地よく感じられます。

併設の玉翠園に伺いますと、こちらには数多くの全体模型に部分模型、スケッチ、工事写真など美術館建設の折の数々の資料が展示されていました。村野先生自ら作られたという粘土模型や、図面への幾多の書き込み、なかでもびっくりしてしまいましたのが工事写真で、型枠を外したコンクリートの躯体に布を張って、現地で原寸の空間を再現しての確認!つまりは現地でつくる原寸模型です。
あの天下の名人の村野さんが、実績からすれば片手間仕事のごときとてもとても小さなこの建物に込める想いといいますかなんと言うか・・・、あのお年で(竣工時92歳!)自らスケッチを繰り返し、粘土をこね、かような便の悪い遠方まで足しげく通い、けれどもそれだけでは飽き足らず原寸での空間確認まで行い、さらには完成後も熊手で建物足元などを自ら整えていらっしゃる。
そんなことに触れるともうわたしなどは怖くて設計などに手を出せません。

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糸魚川へは富山を足掛かりとしましたが、その富山で訪れましたのが
TOYAMAキラリ 富山市ガラス美術館(2015 設計:RIA+隈研吾+三四五)
近づくにつれて眼に届く外観は ああ隈さん・・・と多少食傷気味、でも内部空間はとても楽しかった。ずれながら上昇する吹抜、そこに設けられた幾千枚もの微妙にテーパーをつけて厚みをコントロールした杉のルーバー、いつもの隈さんの手口ながら見惚れてしまい、あらわしの耐火被覆までもが新鮮に美しく見えてしまいます。
そしてなにより、美術館と図書館その他の機能が一体的に融け合い、ガラス張りの美術館展示室など中身がガラス越しによく見える、といいますかショーウインドーの如く共通ゾーンに面して展示してあったりもします。こういったところが従来にないあり方ですよね。
もちろんとても多くの人で賑わっていました。いい施設です。
その中でも眼を引きましたのがサインのデザイン。スチール丸鋼で作られたサインが天井から吊られていたり柱に取り付けられていたり・・・なのですが、鏡張りの柱へのその取り付けがなんとも小粋、絶妙にはみ出しているのです!それを反対側から見ると!!!
メインエントランスの館内案内も天然木をつかったとても洒落たものでした。 

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あわせて訪れましたオープンしたての
富山県美術館(2017 設計:内藤廣)
設計・デザインなどの錚々たる顔ぶれに胸躍らせて伺いましたが・・・
うーーン???どうなんでしょう・・・
私にとっては残念ながらあまり多く感ずるところではありませんでした

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 * * *

富山と糸魚川のちょうど中ほどにありますのが入善。
宮本輝さんの小説「田園発 港行き自転車」の舞台です。とても心洗われた小説で扇状地の田園風景などを思い描いて読み進め、一度訪れたいなぁと願っておりました。今回わずかの時間ながらもその風景の中を歩くことができて満足。
でも観光案内所がお休みだなんて・・・
レンタサイクル目当てで、小説の中のように自転車で辺りを駆けたいと思っておりましたのに、残念!

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水力発電所をリノベーションした下山芸術の森
(1926/1995 マルチネス・ラペーニャ&エリアス・トーレス+三四五建築研究所)
から眺める入善町の風景


番外編

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箱根彫刻の森内にある
ネットの森(2009 設計:手塚貴晴+手塚由比)
集成材を大胆に組んだ興味引かれる建築でした
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その内部
作品は 《おくりもの:未知のポケット2》堀内紀子
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同じく箱根彫刻の森内にある
シャボン玉のお城(2011 設計:ピーター・ピアース)
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ポリカーボネート板とステンレスフレームの単一部材による構成ながら
変化に富んで、内部と外部がいつしか入り混じるとても魅力的な構造でした
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小田原 内野邸(1903 棟梁:鈴木卯之助)
通りがかりに外観のみですが・・・目を惹かれました
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谷村美術館翡翠園近くの民家の石塀
何気なくて実にうまいなぁ・・・こんな芸当が出来たら!
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桜橋(1935)と富山電気ビルデイング(1936 設計:富永譲吉)
ともに登録有形文化財
  1. 2018/09/22(土) 12:24:28

「山本忠司展―風土に根ざし、地域を育む建築を求めて」

京都工芸繊維大学美術工芸資料館で開催中の
「山本忠司展―風土に根ざし、地域を育む建築を求めて」
にこの週末出掛けてきました。
土曜日は好天で 予想最高気温が30度!
そんな京都に出向くのは気が重かったのですが、気持ちを切り替えて・・・
午後からのシンポジウムに備えて午前中に展覧会を拝見しようと早めに出掛けますと、ちょうどパネラーの和泉正敏氏がお見えになったタイミングで、松隈洋・木村博昭両先生が和泉氏を案内して展覧会場をひと巡りするのにちゃっかり便乗、図面や模型を前に和泉氏が語られるいろいろなエピソードをお聴きすることが出来て、まさしく 「早起きは三文の徳」、wormをちゃっかりゲットしたearly birdの気分でした。
オマケでついて回る得体のしれないワタクシにも和泉氏は穏やかに丁寧に接してくださり、「懐の深さ」 と言いますか、「実るほど頭を垂れる稲穂」 を絵に描いたようなお方でした。

山本忠司・・・学生時代からその名前は頭に刻まれ雑誌などで代表作の 「瀬戸内海歴史民俗資料館」 は眼にしていましたが、残念ながら実物は拝見したことがありません。かつて20代の頃勤務時代に高松には仕事で度々出掛けていまして、当地の人は建築関連の話題となりますと二言目には、いや一言目から 「金子知事 山本忠司」 そして 「イサムノグチ 和泉正敏」 と口にされていました。案内してもらっておくのでした・・・
瀬戸内海歴史民俗資料館 の他に 展示で初めて知った 喫茶 「城の眼」 何とも居心地のよさそうで薫り高い空間 あのような場で美味しい珈琲と良い音の音楽に浸ってみたいものです。
午後からのシンポジウム
和泉正敏氏は口数も少なく朴訥とした語り。本人曰く、何億年何十億年という存在の石と向き合う日々であり、人と対話するような時間があったら石と対話したい・・・と。相手にしている時間の長さ深さがもう超越しています。
そして終幕で司会の松隈先生が会場に来られていた浅田彰氏をいきなり指名されて感想を求められたのですが、(少し後ろの席にいました私はその時浅田氏は配布された冊子をパラパラとめくっていてまさに不意打ちであるのを目の当たりにしていました) しかしまあ浅田氏の凄いこと!ご自身と香川の建築の縁に始まり、次第に熱を帯びてモダニズムの解釈についても一刀両断、モダニズムとは本来が重層的なものであり、薄っぺらな均質なものではない と。山本忠司はモダニズムから風土・地域性に回帰したのではなく、香川の山本や愛媛の松村正恒らこそが純粋なモダニズムではないか、そして最後にはちゃんと和泉氏にお話しが繋がっての見事な話しの締めくくり、いやはや本日の一日は最後のこの発言に凝縮されました。

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「山本忠司展―風土に根ざし、地域を育む建築を求めて」公式サイト
http://www.museum.kit.ac.jp/20180322.html
  1. 2018/04/23(月) 13:41:03

知多半島半田 町巡り

先の記事の 名古屋丸栄百貨店 を訪れた翌日 知多半島の半田を巡りました
同じ愛知県尾張地方でも 一宮市で育ちました私には半田は縁遠いところ 子供の頃には知多半島へ海水浴に連れて行ってもらいはしましたが 半田には行ったことがなく 今回が初めてでした
運河と蔵 そして 古い民家の町並み
魅力的な街の風情にびっくり 知らなかった!

名鉄知多半田駅で降り立って東へ
JR半田駅を越しますとそこには現存最古の跨線橋 そして駅前には最後に豊武線を走ったというSLの保存展示

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明治43年に設置された全国で最も古い跨線橋

そこを抜けると蔵と運河の風情ある町並みに その運河に面して 「ミツカンミュージアム」 は建っていました
エントランスの古い商家に蔵をイメージした現代建築が接続する中庭を囲む回遊式の企業ミュージアム
何も知らずに訪れたのですが とても充実した体験型ミュージアムで 存分に楽しめました
建築も素晴らしい
外観は蔵を模しながらも現代的な洗練されたデザインで 内部も今のご時世では段差の多い動線にはいろいろとご意見もあろうとは思いますが 起伏にとんだ回遊式の展示動線は変化に満ちて来場者を飽きさせず 運河を見せるピクチャーウインドウや 床・天井の仕上げなど 展示内容とともに建築も見応え充分
後で調べてみますと企画・展示計画が電通で 建築設計はNTTファシリティーズ そしてアートディレクションが佐藤 卓氏 なるほど!

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運河に面した蔵造りの建物群の風情
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ミュージアムのメインエントランス
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ミツカンミュージアムを後にして 「小栗家住宅」の前を通り 「半六庭園」へ
そこに建つ「旧中埜半六邸」で昼食 明治22年築の屋敷と庭園とが整備されて一般公開されています
この 中埜家 というのがミツカンを始め半田を支えたのですね
残念ながら 小栗家住宅は内部を見ることが出来ず 旧中埜半六邸・庭園にはあまり感じることなく 食後隣の 中埜酒造「国盛 酒の文化館」へ
昔の蔵を活用した 酒つくりの展示館
一通りのガイドツアーのあと 徒歩ツアーの私には利き酒体験!
アルコール度の高い生酒から ノンアルコールの甘酒まで 6-7種類のお酒を味わって もう私はすっかりこのミュージアムが好きになってしまいました・・・

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運河に面した町並み
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小栗家住宅
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旧中埜半六邸の座敷床の間 厳格!
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国盛 酒の文化館

よい気分で 酒の文化館を後にして 「旧中埜家住宅」へ
中埜半六の別邸です 旧中埜半六邸が和風住宅であるのに対し こちらは明治時代末期の洋風建築で 国の重要文化財指定を受けています
設計は鈴木禎次 明治44年の建物です
ハーフティンバーの壁面・変化に富んだ屋根など、多彩な外観の中央部 バルコニーの意匠が繊細でとても可愛らしい
残念ながら内部は非公開でしたが 窓からのぞき込んでみますと 順路を示す標識やスリッパなどが見られ 公開の折もあるのでしょうね

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旧中埜家住宅 外観
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バルコニーの意匠

ここに至る途中に街区ひと区画まるまるのとてつもないお屋敷?があって いったい何?と地図検索をかけてみますと「中埜産業」とあります
とことん 中埜 の町なのだ・・・

そして最後に 現在は「半田赤レンガ建物」という名称で一般公開されています 木骨煉瓦造の建物へ
中野から中埜に名を変え 丸勘からミツカンへと変えた四代中埜又左衛門がビール業界に打って出たカブトビールの製造工場
日本では珍しい これでもかっ!というくらいに斜材がいっぱい入った木骨煉瓦造の建築です
明治31年竣工の建物で 設計は妻木頼黄
工場内を低温で保つための建築的工夫などがわかりやすく展示説明され また 外壁になまなましく残る第二次大戦中の機銃掃射の跡など 歴史の証人としての顔も持ち合わせた建物です
もちろん ビールの製造や その多彩多才な広告宣伝・販売戦略などについての展示も充実 楽しめます
かつて 修復整備前の写真を見た時には こんな建物が愛知にあるのか! とびっくりしたことがありました
商業施設としてよみがえった本日の姿には いささか電飾が賑やかすぎて違和感も覚えましたが よくぞ残されたものです
耐震改修も含めた修復設計・工事の概略も展示されていまして 興味深く拝見しました

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半田赤レンガ建物 外観
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外壁に残る機銃掃射の跡 この建物は戦時中 中島飛行機製作所の施設であったそうです
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レンガ5層の断熱壁 直近のプレートがその解説ではなく 傘立ての案内なのはご愛敬

半田赤レンガ建物内の壁に額に収められて飾られていた この建物の写真
建物に正対してすみずみまでくっきりきっちりと写し取られた建築写真です
「寄贈 村井**」と表示されていました
そう 半田は 建築写真家 村井修先生のご出身地でもあります
先生の「記憶の風景」というモノクロの写真集には 昭和30年代の半田の風景も多数写し込まれています
同じ愛知県尾張地方出身ということで 先生にはいろいろと気にかけていただきました
もったいなくも ありがたいことでした
「記憶の風景」が出版された際には そのあとがきについて「ちょっと泣かせる文章でしょ」と気恥ずかしそうに語っていらっしゃった先生の口調を思い起こします
この写真は紛れもなく先生の趣きを伝えています
が 半田赤レンガ建物が保存修復成されたのが 平成26-27年にかけて
先生がお亡くなりになったのが 平成28年
写真には 「撮影 村井修」のクレジットの記載はありませんでしたが
先生がお撮りになったものか スタジオの方のものなのか・・・

一日かけての半田巡りでしたが パンフレットを見ますとまだまだ見どころがいっぱい
また改めて訪れたいと思います
本日の成果は以下の通り!

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左から
復刻大正カブトビール
復刻明治カブトビール 
国盛 酒の文化館 のラベルの 冬季限定 本醸造 しぼりたて生の原酒
ミツカン 純酒粕酢 三ツ判山吹

  1. 2018/02/24(土) 21:33:23

名古屋 丸栄百貨店

先頃 名古屋の丸栄百貨店を見学してまいりました
尾張で育った私は 子供の頃に名古屋へ連れていってもらうことは特別な出来事
そしてその行先は栄の オリエンタル中村(突然思い出された懐かしい名前!) や 丸栄 などのデパート
子供心には デパート は 夢の場所でした

もちろん建築として眺めたことなどあろうはずがなく 丸栄 は 壁面になにやらタイルで絵が描いてある というのみの記憶
建築の仕事に就くようになってその建築が 村野藤吾の設計で学会賞受賞作と知ってからも 特段の意識もなく わざわざ見に出掛けたこともありませんでした
その丸栄が 今年の6月で閉店し建物取壊し と知って かつて 心斎橋そごう を そこにあるのが当たり前すぎて建築として見に行くこともないままに取り壊されてしまったという轍を踏まぬように と出掛けた次第です

建物は三度にわたる増築を重ねて今の姿になっているそうです
子供の頃の印象に残る西面のタイル画の壁面は第二次の増築
大通りに面した格子状の外観はそれに先立つ第一次の増築の際のものだそうです
この 垂直と水平の格子の繰り返しと それを一部切り取って設けられた所々のアクセント
そして東面には格子の中に配された大きな壁面
そうした扱いがいかにも村野さんらしくて いいなぁ と見惚れます
格子の壁面と タイル画の壁面との交差部は 隅が切られた処理がなされており 見上げてみますと その三角形の天井部分には色とりどりの彩色
「丸栄百貨店」の突き出し看板の上部には これまた村野さんらしい 何ともユーモラスな印象のモニュメント

さすがに月日の流れを感じさせられる劣化も多く見られましたが 建築としての香りはぷんぷんと匂いたつ 滋味に満ちた建物でした

20180204maruei 001外観
20180204maruei 002北西角の隅切り部分のルーバー
20180204maruei 003西側壁面のタイル画
20180204maruei 004北西角の見上げ
20180204maruei 005東壁面の格子状の構成と
それを破る壁面
20180204maruei 006格子の切り取りの妙技
20180204maruei 007袖看板上のユーモラスな造形
格子切り取り部にはコーン状の
モニュメント
20180204maruei 008エレベーター扉の
東郷青児の画は各階共通
20180204maruei 009屋上への出入り口に残されていた扉の引手
まさに村野さんのマジック!
20180204maruei 010搬入口脇の業務用の門扉
20180204maruei 011子供の頃の夢の場所
屋上 は人一人いない
さびれたところと
なってしまっていました
20180204maruei 012子供心に不思議な想いで
眺めた鬼門の社は健在
20180204maruei 0131階エントランス壁面に
表示された学会賞の銘


  1. 2018/02/16(金) 06:15:09
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