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木村哲矢建築計画事務所 木村哲矢 が  見たこと 聴いたこと 感じたこと

「輪違屋」

先日ですが、「京の夏の旅」の一環として10年ぶりに一般公開された「輪違屋」を見学してまいりました。
元禄年間の創業以来320年以上も営業を続け、現在も太夫・禿を抱える現役の置屋、恐れ入りました。
現在の建物は1857年に再建され1871年に増築等されたもの、置屋のみではなく揚屋としての営業もされているとのことです。

wachigaiya01.jpg


1階には「主の間」を含む3つの和室がL字型に繋がり表裏の庭に開け放たれた造りです。
そして2階にありますのが、「傘の間」「紅葉の間」、それに加えて太夫の控えの間で、小振りな規模です。
「傘の間」 : 輪違屋のメイン、銀箔の背景に本物の傘を貼り込んだ大胆な意匠がなんと言っても圧巻。傘は二面に計4つ、銀地というのが渋くてよいのでしょうね。正面は堂々とした間口に、遊興建築らしい、スケール逸脱の大振りの赤松の床柱に、脇床のこれまた太い竹と奔放な梅。けれども正確に間口の三等分で、遊びの空間ながら崩した気配はありません。
「紅葉の間」 : 本物の紅葉の葉を塗りこんで後、剥がして着色をした壁が美しい。見とれます、触ってみたくもあります。この紅葉、適宜に散らして配すれば洒脱な数奇屋の趣きでしょうけれど、そこは流石に置屋揚屋、四面の壁全てにこれでもかと執拗に紅葉の型押し、気分も盛り上がりそうです。こちらもまた床正面は厳格に二等分でかつ、カチッとした意匠。
そのあたりがやはり格式というものなのでしょうか?

意匠の華は2階の二間ですが、眼を惹かれましたのが1階の中庭周りの広縁。ぐるりと設けられた深い軒で天窓も設けられたその庇なのですが、なんと全くの跳ねだしで一切柱がありません。庇は銅版葺で軽くして、垂木はてこの原理で大きく跳ねだすとして、意匠上垂木を受けている丸太の軒桁、コーナーでは二方向からの丸桁が直角に組まれてもいますが、ここにも受ける柱はなく、一体誰がこの桁を支えているの?長いほうの桁は9m程の一本もの、庇の中で要所要所で吊られているのでしょうけれど、不思議そのもの。それでも垂木だけの跳ねだしではなく、桁を要したのですね・・・。

 wachigaiya03.jpg1階 主の間
数寄屋風の造り
 wachigaiya02.jpg1階中庭の濡れ縁
庇を受ける柱が一切見当た
りません


2階は撮影禁止でしたが、WEBで検索すると「紅葉の間」の画像がありました。
名高い久住氏が修復されていたのですね。
ものすごくきれいな壁で紅葉の発色もよく見とれたのですが、なるほど、近年の修復復元でした。
左官職人:久住有生  輪違屋 「もみじの間」 へどうぞ

* * *

「京の夏の旅」は9月30日まで。
同じ島原の「角屋」も同時公開されていますが、この日は時間の都合で残念ながら割愛・・・


shimabara.jpg 島原の大門
sumiya.jpg 角屋
wachigaiya04.jpg「京の夏の旅」
パンフレットの表紙は
輪違屋 傘の間

  1. 2014/08/04(月) 12:58:22
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