建築の眼 JAZZの耳 ; tetsuyakimura_weblog

木村哲矢建築計画事務所 木村哲矢 が  見たこと 聴いたこと 感じたこと

2014年を振り返って

今年もあと数時間で暮れ行こうとしています。早いものです。年々早くなります。

昨年夏から計画を進めてまいりました鳥取での住まいが今年春に着工、足繁く通いました。その住まいが年末に完成しましたことが本年の最大の収穫です。様々な良い出会いに恵まれ、とても質の高い住まいとなりました。特別なことは何もせず、ただ 「大人の空間」 をご提示したいとの想いのみ、丁寧に時間をかけて創りあげたお住まいです。
若狭から鳥取と遠方が続きましたが、京都奈良大阪でのお話しも進み、そして地元箕面でもご縁が生まれるなど、来年が楽しみな一年となりました。ひとつひとつを大切に育てていきたいと思います。

鳥取での仕事の折には、長年の念願であった三徳山投入堂に訪れることがかないました。一体何十年越しの願いであったことか・・・。それをぼやいていましたら、鳥取の建築家の方が連れて行ってくださると申し出てくださったのです。わざわざそのために秋の一日を空けて、車で送迎も頂いて・・・。天候にも恵まれ、紅葉に染まり始めた三徳山は素晴らしかった!それにしてもこの参詣路、先達がいなければ一体どうなっていたことやら・・・。どこからどう見てもとても「みち」とは思えぬ山の斜面を進むのですものね。しかも驚くことにはそのような険しい道なき道を、私よりもはるかにご年配の、私の親とかそれ以上の世代の方々が、果敢にも登り下っていらっしゃる!いやはや・・・恐れ入りました。
クライマックスの投入堂もさることながら、そこに至る道筋の文殊堂・地蔵堂などのいずれもが見応えがあり、そしていよいよのクライマックス、観音堂から尾根を廻りこんだ途端にいきなり投入堂が視界に飛び込んでくる空間演出もお見事。
岩肌の崖のちょうどの窪みにすっぽりと納まった小さなお堂は、その大きさの割には屋根が細やかで変化に富み、一方お堂を支える脚は自在にすくっと延び、特に手前側の脚の伸びやかさがなんとも美しい。
平安後期の建立とされるこのお堂、今から8-900年の昔のことですが、なぜここに???どのようにしてここに?
この地を選び、この地で技の限りを振るい、この地に参る、それぞれの必然と強い想いが、時を越え規模も越え、圧倒的な力を持って迫ってくるのですね。

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  * * *

今年は元日早々に京都銀閣寺道へお芝居を観に出掛け・・・
その 「かもめ」 に続き、夏には 「桜の園」「ワーニャ伯父さん」 と、いずれもが戯曲・演出・演技セリフ・空間すべてが渾然一体となり、満喫しました。
お芝居で幕を開けた今年はしたがって、実に多くの舞台に触れることとなりました。
の林芙美子と 「火のようにさみしい姉がいて」 の姉を演じた大竹しのぶさん、いずれもが忘れがたく鮮烈な印象。「火のように・・・」 は今年最も印象深い舞台でした。
三谷幸喜さんの 「国民の映画」、文楽 「其礼成心中」、そして年末の 「紫式部ダイヤリー」
野村萬斎さんの 「神なき国の騎士」、「マクベス」
前川知大さんの 「関数ドミノ」 (年末の 「新しい祝日」 は良席のチケットを取りながらやむを得ぬ事情で観にいけず・・・)
ケラ 「社長吸血鬼」、渡辺えり 「天使猫」、永井愛 「鴎外の会談」、小川絵梨子 「星ノ数ホド」
「火のように・・・」 「太鼓たたいて・・・」 とともに、地点 「桜の園」、 イキウメ 「関数ドミノ」、野村萬斎 「マクベス」、が私の2014ベスト5でした。
「桜の園」 の人物や物語の独自の再構成と額縁・木枠・一円玉などによる演出に全感覚が釘付け。
「関数ドミノ」 のストーリーも面白ければ、いかにもお芝居的な空間づくり・舞台構成が素晴らしい。
萬斎 「マクベス」 は、大胆に物語をカットし人物も絞って、焦点を鮮明に浮かび上がらせたお芝居で、また、視覚的にもとても美しく斬新な仕掛けで見応えがありました。加えて萬斎さんによるアフタートークも!!!
「マクベス」 はTVでも、長塚圭史演出版の放映があり、これがまた素晴らしく見応えのあるもので、画面に吸い込まれるように観ました。センターステージでの演出は斬新で観客をも巻き込んだ仕掛け、堤真一も素晴らしい。こちらもTV上でアフタートークがあり、長塚さんと翻訳の松岡和子さんのお話がとても聞き応えのあるものでした。、ちなみに萬斎 「マクベス」 は河合祥一郎訳版、その河合祥一郎さんはこの12月のNHK Eテレ 「100分で名著/ハムレット」 にご登壇でしっかり見てます!(河合訳「ハムレット」は年明けには大阪で蜷川演出、藤原竜也・満島ひかり で上演され、今からワクワクしています。)
シェークスピアイヤーであった今年、「マクベス」 の他にも、「ベニスの商人」 での圧倒的な猿之助さんのお芝居や、オール男性キャスト版の蜷川演出シェイクスピアシリーズなど、TVでも劇場の空気そのままに見入りました。

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国立文楽劇場には今年は皆勤賞??何と言っても通しで観た「菅原伝授手習鑑」が素晴らしかったのですが、近松イヤーでの夏の三作に、新春の阿古屋
杉本文楽に前述三谷文楽、久し振りの京都南座では歌舞伎「壽三升景清」

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コンサートは、西宮北口の兵庫芸文センターに通いつめ・・・
ピリス ラン・ラン 辻井伸行さんを始め、随分聴きました (気持ちよく眠りもしました・・・)
バッハ 「ゴルトベルグ」 をイリーナ・メジェーエワさんと曽根麻矢子さんとそれぞれで。私はメジェーエワさんにより多く感じました。
長谷川+古川+遠藤+辻本 “チェロ・カルテット” も良かったのですが、ナレク・アフナジャリャンさんのチェロにもまた聴き惚れてしまいました。

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展覧会では 「ウイリアム・ケントリッジ展」「アンドレアス・グルスキー展」「ジャン・フォートリエ展」 が印象に残ります。鳥獣戯画展はもうこりごり・・・

ウィリアム・ケントリッジ《時間の抵抗》20140506002.jpgfautrier2014.jpg


読んだ本のなかでは
「東京自叙伝」 奥泉光
「西田幾多郎」 佐伯啓思
「ホテル・ローヤル」 桜木紫乃
「笹の舟で海をわたる」 角田光代
「ゆうじょこう」 村田喜代子
「春の庭」 柴崎友香
などなどが心に残り

東京自叙伝西田幾多郎 佐伯啓思


今年買ったCD、いろいろありますが印象深くよく聴いたものは
ヴラディーミル・アシュケナージ 「ラフマニノフ:ピアノ作品集」
レイチェル・ポッジャー 「モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ全集」
アルテュール・スホーンデルヴィルト 「ピアノ協奏曲全集~試演時の編成による演奏」

「Touch Of Tony Scott」 が復刻発売されたこともうれしいことでした

ラフマニノフ:ピアノ作品集モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ全集ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集Touch Of Tony Scott


  * * *

毎年のことながら、記すのは仕事のことや建築ことではなくて、遊んだことばかり・・・
それらの見聞のひとつひとつが血となり肉となって建築の設計にもどこかでつながっていく、と都合よく自分を言いくるめてしまいますが、それにしてもこうしていろいろな機会に触れられることは本当に得がたくありがたいことです。

しかしながらこうして振り返ってみますと、たとえば今年一年ではたして、
建築の空間に震えるような体験をしたか?
とくにそれも現代建築において

見に行っていない・・・
反省します。
来年は、劇場通い・コンサートホール通いもいいけれど
ひとつお芝居観たらふたつ建築を、みっつ音楽聴いたらよっつ建築を・・・
伝統建築も民家街並みも良いですけれど、現代建築をこそ意識して、来年は身体で見に行かなければ、との想いで本年の幕を引くことといたします。

それでは
皆様にとっても今年が良い一年でありましたように・・・
  1. 2014/12/31(水) 18:55:26
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