建築の眼 JAZZの耳 ; tetsuyakimura_weblog

木村哲矢建築計画事務所 木村哲矢 が  見たこと 聴いたこと 感じたこと

2015年を振り返って

もうあと数時間で今年も暮れゆこうとしています

今年、工芸品ともいえる名建築が東と西で姿を消すこととなりました
ホテルオークラ と 大丸心斎橋店 です

営業最終日を翌日に控えた12/29、つまり一昨日ですが大丸心斎橋店を見学に行って参りました。これまであまりに当たり前で、「建築の見学」という態度で訪れたことがなかったのですが、改めてそのような視点で店内をくまなく歩きまわってみますと、もうあちこち発見だらけ・・・密度の濃さに驚かされます
7階催事場では 「大丸心斎橋店 回顧展」 が催され、本館建築当時のヴォーリス事務所の手描きの設計図面や、工事中・戦前などの建物の写真の展示もありました。吹き抜けや大食堂など現在姿をとどめていない店内の様子など興味深く拝見。階段室などにも "archives" と往時の写真が展示されておりました
それにしても建物周囲も店内も、カメラを向ける人でいっぱい、歳末でにぎわう店内ですが買い物客よりも見学客の方が多い?(とはさすがに言い過ぎです・・・) 普段の店内は一切撮影禁止だったのですが、もうさながら撮影会状態、店員の方々も「あそこご覧になりました?」などと声をかけてくださり、一緒に名残を惜しみます。建築関係者ではなく、一般の方々がこんなにも大勢カメラを向け、あるいは絵筆を取り、別れを惜しむ・・・この建物のすべてがそこに表れています。当たり前のようにそこにあって、当たり前のようにけれども大切に使い続けられ、人々にごく自然に愛され、長く心にとどめられる・・・建築とはそのようでありたい・・・
外観や店内の装飾など多くを再生しての建て替えとのことですが、果たしてどのような姿に生まれ変わりますものか・・・

2015daimaru001.jpg大丸心斎橋店
御堂筋側外観
2015.12.29
2015daimaru002.jpg大丸心斎橋店
1階天井
2015.12.29
hotel okura001ホテルオークラ
外観
2015.07.05
hotel okura002ホテルオークラ
ロビー
2015.07.05

  ***

今年を振り返れば・・・
この一年は私にとって本当に短い一年でした

個人的なことながら、今年息子が社会へと巣立ちました
そして入社を前にした3月、二人で北海道を旅し (と言っても現地ではほとんど別行動でしたが)、ラストラン直前の寝台特急トワイライトエクスプレスで丸々一日間をともに過ごしたことが深く心に残ります。その頃仕事が立て込み息つく間もない状態で、とても旅に出かけるといったような状況ではなかったのですが、「ええいっ!こんな時こそすべて放り出して数日間空っぽになってこよう!」 と思い切って出掛けて・・・
本当によかった・・・
とても意味ある時間を持てました

 twilight_exp001.jpg途中敦賀駅にて停車中の
トワイライトエクスプレス
2015.03.08
twilight_exp002.jpg早朝のサロンカーにて
2015.03.08

  ***

本業では
「大改造!!劇的ビフォーアフター」 への関わり、昨年秋から始まったプロジェクトは年明け早々から着工となり、6月初めの放映まで、ともかく通常とは全く異なる設計監理の進め方に戸惑うばかり・・・と言いますよりも、戸惑っている間もなく進められるテンポに追われ追われ・・・
要望と設計と工事が同時進行、しかもクライアントとの直接の打ち合わせも限定的で、加えて収録に次ぐ収録・・・
テレビの見世物的にならず、あくまで建築として質高く成り立つように、と腐心したつもりではありましたが、まあ全てが慣れないことばかり・・・、得難い?体験でした
お陰さまで多くの方々に視聴いただき、親・親戚孝行?や古い友との旧交ともなりました

加えて京都や地元箕面での仕事など、実りある一年を過ごすことができました。
昨年末に完成しました鳥取での住まいも、撮影や検査などで引き続きお世話になり、その折には三朝~米子へも足を伸ばさせていただいたことは先に記した通り

w-tanakake_102mino001.jpgw-sagano_023.jpg
ビフォーアフター田中家箕面の住まい嵯峨野の離れ(改修工事)

  ***

今年は桂離宮・修学院離宮の見学で一年の幕を開け、年間を通して冬・春・夏・秋と各季に訪れました。何度訪れてもその都度に発見があります
犬山で如庵・芝川邸や久しぶりの東京で立教学院聖パウロ礼拝堂・猪俣邸を訪れたこと、夏のぎふメディアコスモス・墨会館も印象深いですが、記事に書けなかった中では、
秋の大阪市の 「生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪2015」 での二つの村野建築 フジカワギャラリーと浪花組、特にフジカワギャラリーは印象深い
そして、長瀬産業ビルのエントランスのあの空間・・・「静かな建築をつくってください」 というクライアントの要望と解説にありましたが、それに応えた、見事に静謐で気品ある大人の空間、もうずいぶん昔の竣工時に雑誌で見て感銘を受け、ようやく30年以上もかかって現実の空気感を味わうことができました。設計の永田祐三氏に、氏の設計のバーのカウンターで絵画について熱く語って頂いたことを忘れがたく思い起こします
神戸の竹中大工道具館と大阪木材仲買会館にもこの秋続けて訪れましたが、長瀬産業ビルとともにいずれも竹中の設計施工、技術・デザインの質の高さと、新たな冒険や遊び心などとのバランスが流石です・・・

fujikawa_g001.jpgfujikawa_g002.jpg
フジカワギャラリー内観フジカワギャラリー階段の微妙なカーブ ディテールの細部も絶品
naniwagumi001.jpgnaniwagumi002.jpg
浪花組 外観 いかつい!なのに・・・こんな可愛らしい小技は村野先生ならでは
nagase001.jpgnagase002.jpg
長瀬産業ビル外観長瀬産業ビル エントランスホール

  ***

それにしても今年もよくもまあ遊びに出かけたもので・・・
コンサートにお芝居に展覧会に
いったい何枚?と手元に残った半券を数えてみたら・・・
とてもハズカシクて言えません!

展覧会では何といっても
京都国博での 「琳派 京を彩る」 展
もう見応えあり過ぎ!宗達・光琳・抱一の三者の風神雷神図が一室に会した様は圧巻!だけではない・・・

「鴨居玲―踊り候え―」
「船越桂 私の中のスフィンクス」 
いずれの展覧会も深く深く心に刺さっています

2015rinpa.jpg2015camoy.jpg2015funakoshi.jpg

お芝居はいろいろあり過ぎて・・・
井上道義+野田秀樹 「フィガロの結婚~庭師は見た!~」 はとても楽しめました
野田秀樹では 「エッグ」 再演も観ました

蜷川幸雄+藤原竜也+満島ひかり 「ハムレット」
ケラリーノ・サンドロヴィッチ+余貴美子+宮沢りえ+蒼井優 「三人姉妹」
同じくケラに仲村トオル+小池栄子 「グッドバイ」
森新太郎+内野聖陽+秋山菜津子 「東海道四谷怪談」
佐々木蔵之介 「One-Man MACBETH」
いや、他にもいっぱい
加えて文楽・歌舞伎へもいそいそと・・・

figaro_20150606.jpg2015egg.jpg
2015humlet001.jpg2015sanninsimai001.jpg2015goodby.jpgyotsuyakaidan01 macbeth20150815-s.jpg

コンサートで何といっても印象深いのは
マリア・ジョアン・ピリスによるソロ、ベートーベンのピアノソナタ32番の演奏、これに尽きます
何かもう異次元の世界に連れていかれました
そして
つい先日のミカラ・ペトリ アンコール曲での超絶技巧!唖然・・・
あるいはチョン・キョン・ファ 演奏はもちろんなのですが、コンサートがひけた後のサイン会での寛いだ親しみの様子・・・隣国のおばちゃん!にうって変わった親しみを覚えてしまいました
チャイコフスキー 「偉大な芸術家の思い出」 を 竹澤恭子&堤剛&児玉桃 と 神尾真由子&ジャン・ワン&キム・ソヌク の二つのトリオで立て続けに聴く機会もあり、そのあとこの曲の名演と言われるCDを何枚も聴いたのも今年の思い出

2015pires.jpg2015petri.jpg2015kyonwa.jpg2015takezawa.jpg2015kamio.jpg

今年読みました本のうちでは、もっとも心に残りますのは
江國香織 「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」、谷崎賞受賞記念講演会では生の声にも触れてきました
広汎性発達障害の子の感受性?と私は拓人を通してその世界観を読み進めました
最後のお姉ちゃんのとった行動も気持ちは痛いほどわかる!(いや、言葉だけ・・・とてもとてもまねできませんが・・・)
その他
「琥珀のまたたき」 小川洋子
「田園発港行き自転車」 宮本輝
川上未映子訳の樋口一葉 「たけくらべ」 も素晴らしい!
刺激されて一葉の原文とも読み較べてしまいました・・・
今年前半に読んだ
「水声」 川上弘美
「離陸」 絲山秋子
「献灯使」 多和田葉子
などもよかったのですが、時間がたって古びた私の頭には印象ボケ気味・・・

2015yamori.jpg2015kohaku.jpg2015denen01.jpg2015denen02.jpg2015takekurabe.jpg

  ***

年末も近くに放映されたNHKーTV 「ドナルド・キーンの日本」
キーンさんに対して恥ずかしい日本人の一人でありたくはない
それが来年に向けての今の私の気持ちです

まもなく今年という一年も幕を閉じようとしています
お陰さまでつつがなくこの一年を過ごすことができました
ありがとうございました
お礼申し上げます

20151231zansyo.jpg
暮れゆく2015年
大阪箕面では西の空は地平線近くで雲が厚く 日没は拝めませんでした・・・

  1. 2015/12/31(木) 19:43:39
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