建築の眼 JAZZの耳 ; tetsuyakimura_weblog

木村哲矢建築計画事務所 木村哲矢 が  見たこと 聴いたこと 感じたこと

ニナガワ

蜷川幸雄さんが亡くなったというニュースに接したのは、ちょうど連休中に「疾走する蜷川幸雄80歳~生きる覚悟~」を見た直後でした
今年年初に放送されたらしいドキュメンタリー番組ですがその時には見逃し、4月下旬に再放送されたものを録画して見ていたちょうどその時・・・、タイミングを図ったようで、訃報に接し再度改めて見返しました

車いすに乗り酸素チューブを鼻に接続し頬はこけて眼ばかりが浮き出たような、年老いた病人の風貌ながら、けれどもその情熱たるやますます盛んで、まさにこれから己の新たな人生が始まるかの如き勢い、ひとたび舞台稽古に入れば激しい言葉の連打連打、その凄まじい怒りに圧倒されます

怒り・・・こころの底から怒るということにはとてつもなくエネルギーを要します
(かつて私自身の建築の師匠も、作品もともかくですが、何が凄いってあそこまで怒り、その怒りを持続させるエネルギーに圧倒され、魅せられました)
お芝居に役者に真剣に対峙しなければ、作品に対する真実の愛情と責任とがなければ、あのように怒れるものではありません
怒りが爆発すればそれはそれは実に口汚い罵声の連続なのですが、真剣な、心の奥底から発せられる怒声は、表面上は汚い言葉であれど飾ったり気遣ったりする言葉よりもはるかに真実に溢れ愛情に満ちていると感じさせられます
「ハムレット」の稽古での藤原竜也さんに対して投げかけられ語られる言葉の数々、いま物凄く大切なことが語られている・・・とテレビの前の私も思わず居ずまいを正されるものでした そこには芝居の本質・真実がぎっしりと詰まっていました
その激しさとともに、体調により海外公演に同行できず役者スタッフ一同を鼓舞して送り出す言葉や、羽田に一行を見送る姿・・・芝居を役者をスタッフを本当に大切にしている様が伺え、心打たれます

私が観たニナガワ芝居は数えるほどしかありません
近年こそはいろいろ観ましても、かつて熱心に芝居に通っていたころニナガワはちょっと別の世界と感じてあまり観なかった
今となっては惜しまれます
けれども同時代に生のニナガワに接することができた幸運・歓びは大切にしていきたい
寺山に何とか間に合い、太田省吾やつかこうへいに触れ得た歓び・・・というのはすでに過去形で表現せざるを得ない淋しさも伴うものですが、そこに蜷川幸雄さんも加わることとなってしまいました

残念ではありますが、ありがとうございました


今年の初めに売り出しが予定されたお芝居、藤田貴大さんが蜷川さんを描くという「蜷の綿」 しかもそれを蜷川自身が演出する!という企画に興奮を抑えきれず、幸いに関西では蜷川演出版と藤田演出版の両バージョンが観られるとあって、もう楽しみで楽しみでチケット発売を待ち切れずにいましたのに、発売の前日だったか前々日だったか新聞に蜷川さんの体調不良のニュースが流れ公演延期・・・
延期なのだから、と回復されて改めて両バージョンの公演実施となることを信じて疑わず待っていましたが、かなわないこととなってしまいました・・・
残念ですが、今となっては藤田貴大版の実施を、追悼と言いますか遺志を受け継ぐと言いますか、実現され観ることが出来ることを願っています

ninanowata002.jpgninanowata001.jpg
「蜷の綿」公演チラシ 両バージョン統合のもの
関西では 蜷川版を兵庫県立芸術文化センターで3月12・13日に、藤田版を伊丹アイホールで3月18-20日に予定されていました
幻となってしまった蜷川バージョンのチラシ
しかも舞台上に特設劇場を設置し、インサイドシアターでの上演とあって、いったいどんな上演になるのだろうと興味津々でした


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追記
藤原竜也さんの弔辞 泣けます・・・
(葬儀のニュースを聞いて 5/17)

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追・追記
記事にも書いた「蜷の綿」に挑む姿を描いた追悼番組がNHKで放映されます

「ドキュメント 蜷川幸雄 最後の挑戦 ~未完の大作で伝えたかったこと~」
【放送予定】6月4日(土)[BSプレミアム]後7:00~7:59

詳しくは NHKの追悼番組一覧へ
http://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=05756
  1. 2016/05/15(日) 21:58:39
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