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木村哲矢建築計画事務所 木村哲矢 が  見たこと 聴いたこと 感じたこと

「羊と鋼の森」 宮下奈都

宮下奈都さんの 「羊と鋼の森」 を読みました。
今年の本屋大賞受賞作だけあって、心に染み入るものがたりであり、しかも、読みやすい。
惹かれる言葉の数々が散りばめられていますが、その中から 147頁~148頁にわたる個所を引用 (148頁は原民喜さんの文章 「沙漠の花」 からの引用の引用となりますが)

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音楽は競うものじゃない。だとしたら、調律師はもっとだ。調律師の仕事は競うものから遠く離れた場所にあるはずだ。目指すところがあるとしたら、ひとつの場所ではなく、ひとつの状態なのではないか。
「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」
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これを私の分野に置き換えてみたら

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生活は競うものじゃない。だとしたら、建築家はもっとだ。建築家の仕事は競うものから遠く離れた場所にあるはずだ。目指すところがあるとしたら、ひとつの空間ではなく、ひとつの状態なのではないか。
「明るく静かに澄んで懐かしい空間、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている空間、夢のように美しいが現実のようにたしかな空間」
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うんうん・・・なるほど


「なんというか、まっとうに育ってきた素直な人(241頁)」 と評されるこの物語の主人公外村君の愚直さがとても好ましいのですが、
双子のピアノの個性の違いににおいてもそのような静かな素直なまっとうさが選ばれていきます。
作者が今の世の中でこの物語を通して伝えたいことなのですね。

それを端的に表すことばを物語の冒頭から

「焦ってはいけません。こつこつ、こつこつです」

hitsujitohabanenomori.jpg

  1. 2016/07/19(火) 09:57:29
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