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木村哲矢建築計画事務所 木村哲矢 が  見たこと 聴いたこと 感じたこと

「夏祭浪花鑑」

今年の夏大阪では 浪速が舞台の夏芝居 「夏祭浪花鑑」 が歌舞伎と文楽とで揃って上演されました。上演の段も同じ
住吉鳥居前の段
釣船三婦内の段
長町裏の段
舞台となる下寺町高津宮は大阪に出てきた頃に住んでいた辺りです。住み始めた頃の住所は確か南区中寺、谷九交差点から高津神社に向かって入ったあたりで、当時国立文楽劇場は工事中で、そのすぐ裏の銭湯に深夜に通っていたものでした。背中がカラフルな人も多く独特の雰囲気でした。

昼の歌舞伎と夜の文楽と 同日に通して観ようかとも思いましたが、歌舞伎から文楽までの間 中途半端に時間が空いてしまうのでそれをやめて別々の日に見ることに・・・。
いずれも以前にも観たことがありましたが、改めて今回は歌舞伎と文楽と、それぞれの台本を図書館で借りてきて事前に読んでの観劇。それぞれの役者がセリフを述べる歌舞伎と、基本的には一人lの大夫さんが語る文楽 (長町裏の段では二人で義平次と団七とが語り分けられます) とでは台本からして既に趣が異なっています。

そして実際の観劇
先に見ましたのが松竹座の七月歌舞伎、その後に国立文楽劇場のサマーレイトショーという順。
義父殺しの場面である長町裏の段、
生身の人間が演ずる歌舞伎では凄惨な場面をリアルに演ずれば観るものにとってしんどいのでしょう、残忍で凄惨な場面も様式化され動きにもたっぷりと間を取り美に昇華しています。一方の文楽では、人形が演ずることがあって生々しさが当初から軽減されるからでしょう、却って余すところなく凄惨さや人物の感情がリアルに描き出されます。
人間ならではの歌舞伎では義平次は泥にまみれ、団七は本物の水をかぶって身体を洗い流します。人形の文楽では斬られた義平次はずたずたぼろぼろになり、放り投げられ亡骸は無の状態になります。
池と井戸の舞台上の配置も歌舞伎と文楽とでは異なり、動きも文楽の上手下手間の平面的な動きに対して、花道を存分に活かした歌舞伎ならではの立体的な動き。
住吉鳥居前の段でも白旗(=褌)を忘れた場面や佐賀右衛門の体をあしらっての道案内など歌舞伎には観客を楽しませるような演出が加えられていますが、元となる文楽の方では実に淡々と簡潔に無駄なく物語が進行していきます。

それぞれを見終えて
欲を言えば見せ場の段だけではなく物語全体を通しで観たかったかな。以前に観た愛之助さんの舞台では通しで物語の全貌を楽しめました。
チケットの高い歌舞伎は3階席から観て、友の会にも入っている文楽は最前列中央で観て、という違いもあるでしょうけれど、歌舞伎は楽しんで観て、文楽では惹き込まれて観た、という印象です。
ともかくも 双方の持ち味を楽しむことが出来てよい夏です。

松竹座201707松竹座201707-2natsumatsuri_kabuki.jpg
松竹座のチラシ劇場前のポスター掲示
道頓堀の夜景の映り込みが大阪らしい
松竹座正面に掲げられた「夏祭浪花鑑」の芝居絵
夏祭浪花210707-1夏祭浪花210707-2natsumatsuri_bunraku.jpg
文楽のチラシは 徳兵衛女房お辰
この人形は 簑助さんが遣われました
さすがにご高齢も感じます一方見惚れもしました
夏公演で配られた団扇は 団七九郎兵衛
団七 の頭(かしら)は 団七 ではなく 文七
ややこしい・・・
国立文楽劇場に掲げられた「夏祭浪花鑑」の芝居絵


歌舞伎は 昼の部・夜の部を同日続けて観たのですが、夜の部の 「盟三五大切」
これがまた素晴らしかった
深夜 窓から入る源五兵衛(=片岡仁左衛門)の姿・振る舞いや
落した小万の首を持ち帰っての食事 脚本ではお茶を首にかけるのですが 舞台では口元に箸で食事を運んで ・・・ !!!
ゾクゾクして魅入りました

***

昨日は鴻上尚史さんの 「ベター・ハーフ」 を観てきましたが、よかった!
観ながら 鴻上さんって うまいなぁ とつくづくと感じました。
物語りがとても巧みに面白く組み立てられ、サーヴィス精神にも溢れ、そしてとてもテンポよく進んでいきます。
美術(松井るみさん)もジグソーパズルのピースをあしらったもので、ベター・ハーフという意味を見事に表現し、映像のピースがバラバラに崩れ落ちる様などもとても印象的でした。
第三舞台のお芝居ってあまり観ていなくて、このところもっぱら 鴻上尚史=cool japan な私ですけれど、お芝居の中でもチラリと Cool Japan 云々 って出てきまして こんなところにも鴻上さんの愛嬌を感じてしまいました。
  1. 2017/08/06(日) 17:12:11
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