建築の眼 JAZZの耳 ; tetsuyakimura_weblog

木村哲矢建築計画事務所 木村哲矢 が  見たこと 聴いたこと 感じたこと

豊田 近江八幡 岐南

いつの間にかイチョウ並木の歩道に銀杏が転がる季節となりました。


今月初めに、豊田市美術館で開催されている 「奈良美智 for better or worse 展」 に行ってまいりました。
豊田市美術館は開館当時に来て以来、奈良人気で大変な混雑でした。
最初の展示室で、若き日に奈良さんをかたちつくった様々なもの -本・レコード・こけし等の品々- の展示があり、LPジャケットなどを見ると 「おお、ウチにもある!」 というものがいっぱい、年譜を見てみれば同い年なのでした。
時間をかけて奈良ワールドをたっぷり堪能・・・

20170903 toyota (4)

それにしても豊田市美術館、以前来た時には外壁と床の緑色のスレートの素材感と緻密なディテールに圧倒されて、そのほかの印象があまり残っていなかったのですが、以前は建築が目当てで来て、今回は展覧会がメインで訪れて、こういった建築だったのだ・・・と改めて知った次第。
建物の正面性というのが圧倒的で、フレームのゲートと壁でドーンと来館者を正面から受け止め、(と言いながら、駅から徒歩で参りますと正面ではなく裏から入ることになってしまうのでしたが・・・) けれども内部に入ると、崇高なエントランスホール というものはなく、あっさりと展示室に入る感じ。吹抜の階段ホールも以前の際は印象深かったように思うのですが、こうしてみるとあっさりしたもの。

そして展示室を巡れば、あちらへこちらへと かつ上下にも移動し、結構こまごまと大変だったのでした。
屋外に出て改めて建築を見てみますと、前庭も上下に立体的で上部は大きな水庭。ゲートをくぐった先のエントランスコート、そして美術館の方もテラスを挟んでメインの展示館と高橋節郎館が分離されて置かれ、さらに水庭の対面に茶室棟。これだけの豊かで様々な機能の屋外空間をつくりだすために美術館の建築自体は平面ではなく立体的な構成とならざるを得なかったのでしょう。
ここでは建築もさることながら、この屋外空間を谷口さんは造りたかったのか・・・と感じました。

20170903 toyota (1)
設計 谷口吉生 1995
20170903 toyota (2)

20170903 toyota (3)

美術館を後にし、トヨタ鞍ヶ池記念館へ。
足の便の悪いところなので (車で来ることが前提です、トヨタ車に乗ってきなさいと言わんばかりに・・・) 今回が初めて。
本数の少ないバスに結構な時間乗りました・・・
さすがにトヨタが管理運営しているだけあって、アプローチの立派な刈込の中に見え隠れする姿はとても良い雰囲気です。
建築は、まだバリヤフリーがさほど声高に叫ばれない時代ですね、床も天井もさまざまに起伏に富んでいます。建築的な要素もいろいろあちこちにに顔を出して、
「ああ、槇さんも若き日にはあれもこれもといろいろとやりたかったんだ!」
と思わされました。

20170903 toyotakuragaike (1)
設計 槇文彦 1974
20170903 toyotakuragaike (2)

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こちらは同じ敷地内に移築修復されている 旧豊田喜一郎邸(設計 鈴木禎次 1933)
20170903 toyotakuragaike (4)

* * * * *

この豊田への道程では、近江八幡と岐南にも立ち寄りました。

今回の近江八幡はヴォーリズは素通りして、ラ・コリーナへ。
ホームページで休日の混雑ぶりを読んでいましたので平日に出掛けたのですが、それでも大変な人出!
子供ははしゃいで駆け回り、大人はあちこちにカメラを向ける。
言ってみれば、和菓子洋菓子の販売とレストラン・カフェのみなのに、人を惹きつけるのですね・・・
建築の力 というか「チカラ」という言葉は似合いません。
どこを見てもつい微笑んでしまう。

バス停で降りてまずはエントランスゲートのスケールに好感、手作り感満載!
アプローチを進み、メインの建物へ。
草屋根がここまで見事に実現されていることに驚き
そしてなんと云っても素晴らしく感じますのが、軒の低さ!
その軒先から滴り落ちる水滴(草屋根の保水のための水です)が陽光にキラキラ輝いて美しい。
内部に入れば、例の炭の天井。
トイレを覗けばドアハンドルからアクセサリーなどの金物類が、すべてサンダーで荒らし歪ませてあります。
事務所棟の屋根のもっこりしたシルエットもほほえましい。
建築もランドスケープも分け隔てなくまさに混然一体

それにしても水平垂直・直角の定規で製図されるもの や 工業製品のカチッとした精度 というものをとことん排しています。
この手作り感を達成するためには、小さな小屋ならいざ知らずこの規模では、設計するのも施工するのもさぞ大変だったことでしょう。
そして何よりも、この感覚を維持するための 維持管理の努力苦労 が偲ばれます。
それがあるからこそ、これだけ多くの人が惹きつけられるのでしょうね。

20170901 la_collina (01)
設計 藤森照信 2015~
20170901 la_collina (02)

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この近江八幡の後、岐阜で電車を降りて岐南町役場を見に。
2月の世田谷プレイスがあまりに素晴らしく、期待に胸を膨らませて向かいました。
けれども・・
屋根・庇の造形が特徴的で 長大な軒下 を創りだしています。
その軒先もとても薄く処理されています。
けれども訪れたこの日もとても暑く、午後の太陽は容赦なく軒下にも照り付け、軒下のベンチに座る人はもちろん皆無。
塔状の庁舎建築は ルーバーには特徴がありましたが内部の計画は非常にオーソドックスですし、複合機能を分棟にして一つの屋根でつなぐというのも、まあある手法・・・
昨今は都会ではお洒落とも感じさせるモルタル押さえなどではあります。
しかし、恐らくはコストがとても厳しかったのであろうことを感じさせる質素で単一な素材や即物的なディテールが、このような地方都市の建築では私にはどこか貧相で寒々しく感じてしまいました。
地方都市 → 屋根・軒下 → 寄り合い という連想にも・・・

20170901 ginan (1)
設計 kwhgアーキテクツ 2015
20170901 ginan (2)

20170901 ginan (3)

20170901 ginan (4)
  1. 2017/09/21(木) 17:41:25
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