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木村哲矢建築計画事務所 木村哲矢 が  見たこと 聴いたこと 感じたこと

古民家の防寒

今日も厳しい寒さです。
こちら箕面でも今朝は家々の屋根が白くなっていました。

新しい年が明けて早10日、この年末年始を故郷に帰られてゆっくりとした時間を過ごされた方も多いのではないでしょうか?
そして、その帰省先が絵にかいたような日本の住まいの方も・・・

都心の高気密高断熱の住まいから故郷の昔ながらの古民家に移りますと、えも言われぬ安堵感に浸る・・・
いえ、容赦なく襲い掛かる寒さに感慨に浸る間もない、というのが実情かもしれません。

地震に対する不安、暗さ とともに 寒さ もまた古民家の不満の筆頭です。

高温多湿の日本では「徒然草」にも書かれていますように、風通しの良い夏向きの住まいが基本とされてきました。
柱間を埋める壁はそれほどの厚みのない土壁であり、もちろん断熱材などは入っていません。おまけに土壁は時間の経過とともに縮んだり割れたりと、柱との間に隙間を生じてそこから冷たい空気が入り込みます。
引き戸が基本である窓も、昔ながらの木製の引違窓であればやはり隙間風を防ぐには不十分です。
地面からの湿気対策で風通しをよくしてあります床下も、当然ながら冬には寒風が吹きすさび、床板の隙間から風が入り込みます。
囲炉裏のある住まいでは、越し屋根の煙り出しからは雪も舞い込み・・・

古民家を長く住み継ぐためには防寒対策は欠かせず、リフォームの大きな柱となります。

床の改修では、現代の工事では荒板を張ることはまれで、下地合板を張った上に仕上げの床材を張りますので、隙間は生じにくくなります。もちろん断熱材の充填も欠かせません。床の段差の解消とともに断熱性も向上し、ライフスタイルに合った仕上げとすることができます。
天井の改修でも、断熱材の敷き詰めは造作のないことです。
それに対して壁の改修では、基本的には室内側に断熱材を挿入して再度壁を張って仕上げることとなります。当然ながらその分部屋は狭くなりますし、それまであらわしであった柱や梁などの木材は隠れてしまい、民家的な意匠が損なわれてしまいます。
けれども見方を変えれば、建てられた当時にはほとんど電気設備もなくコンセントも不足がちであったのが、新たに壁を起こすことで配線スペースが生じ、現代の多様な電化に対応できます。木製の窓は風情のあるものですが、気密性の高い二重ガラスの断熱アルミサッシュに交換した場合、壁厚が増せばサッシュの内側に紙障子を設けることが出来、意匠性の改善とともに、より高い断熱性も得ることが出来ます。
新たに設けた室内側の壁には、柱や梁が現れないことでかえってモダンな和空間へと変身するかもしれません。木材が隠れてのっぺりとした印象となってしまうことをどうしても避けたい場合には薄い木材を壁に張って、民家的な意匠を再構成することも可能です。

古民家の趣きと現代的な快適な生活とは、相反するものではなく共存すべきものであり、そうでなくては生活の器としての古民家を愛し住み続けていくことはできません。
故郷で寒さに凍えた皆さま、お住まいを見直してみませんか?

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玄関部分 左手の壁は新たに起こした壁です。
梁やその上の束などの木材は意匠的に加えたものでもともとの骨組み材ではありません。
配線スペースも生まれることによってスポットライトを取り付けています。

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外部デッキにつながる旧縁側部分。断熱材を加えて新たに仕上げ直した壁ですので柱などの木材は隠れています。
見せかけで付け足すこともここではしていません。
壁厚が増した分、室内側に摺り上げの紙障子を設けて断熱性を高めています。

obama01.jpg
右側の大きな窓のある壁は、新たに築いた壁です。

obama02.jpg
その上部、断熱材も仕込んだ壁は一面漆喰を塗り、柱や梁などは見せていません。
2階の床板を外して吹き抜けとした分、それまで床を支えていた木材がたくさん現しとなっていますので、
壁はスッキリさせようと意図したものです。
  1. 2018/01/11(木) 15:05:05
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